リハビリテーション部

リハビリテーション部長からのご挨拶

リハビリテーション部長 浅川育世リハビリテーション部長
浅川育世

当院リハビリテーション部は、理学療法科、作業療法科、言語聴覚療法・臨床心理科の3科4部門から構成されており、総勢60余名の療法士が勤務しております。さらには茨城県立医療大学の理学療法学科・作業療法学科の教員も業務の一端を担っております。
私どもリハビリテーション部部員一同、茨城県立医療大学付属病院の要の一部門を担う者として、患者さんが生きがいを持った生活を取り戻すことができるよう、また障がいをお持ちの方々が自分らしく生活できるよう、少しでもお役に立ちたいと考えております。
私どもの目指すリハビリテーションは、単に機能回復やその維持だけではなく、いきいきとした生活の実現を目指すものであり、リハビリテーションサービスを直接ご利用になる方々のみならず、その方々を取り巻く周囲のみなさまにも満足いただけるようなリハビリテーションサービスの提供を目指し日々努力しております。
なお当院は茨城県地域リハビリテーション支援体制の中心組織として茨城県地域支援センターに指定されており、さらに、茨城県立医療大学の教育付属施設でもあるため、茨城県下の有資格者(免許のある療法士)の研修や学部学生・大学院生の実習受け入れ、研究の協力にも力を入れております。リハビリテーション専門病院として新たなリハビリテーション技術の開発、効果の検証など職員が関わる診療以外の業務も多く行われております。
ご利用いただくみなさまにおかれましては宜しくご理解の上、ご協力いただけましたら誠に幸いでございます。いきいきと安心して暮らせる生活を共に目指してまいりましょう。

リハビリテーション部の取り組み

回復期リハビリテーション

 回復期における患者様へのリハビリテーションを積極的に行っております。突然の病気やケガなどで身体が動きづらくなってしまった方に対して、再び自宅へ戻れるように、起きる、食べる、歩く、トイレに行くなどの日常生活で必要な動作の練習を行います。リハビリテーション室でできる動作を、病棟でできるように、病棟できる動作を自宅でできるように、段階を踏んで実施しております。
病気やケガの程度によっては元の状態に戻ることができないこともあります。その際は、自宅への手すりの設置や段差を解消し動作がしやすいようにアドバイスを行い、退院後に利用するリハビリテーションやデイサービス、訪問看護やヘルパーの利用などの新たな生活の構築のための支援も併せて行います。患者様ご家族も含めたチームでの取り組みが特徴です。

脊髄損傷、神経難病に対する集中リハビリテーション

脊髄損傷

脊髄損傷は受傷する部位が頸髄(首の高さ)、胸髄(胸の高さ)、腰髄・仙髄(腰の高さ)と運動・感覚の麻痺の程度によって様々な症状・障害に対応するリハビリテーションが実施されます。また、病棟看護師、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士らと共同し、退院後の生活を想定して自立した生活と社会復帰を包括的にサポートいたします。
リハビリテーションでは、脊髄損傷の患者様に必要と考えられる基本動作(寝返り、起き上がり、ベッドや車いすへの乗り移り等)の練習や、患者様の麻痺の程度を評価したうえで、立ち上がり練習、歩行練習などを提供しております。必要に応じて、下肢をサポートする下肢装具や先進的なロボットリハや歩行支援機器を導入し、積極的に歩行獲得に取り組んでいます。合わせて、臨床データの蓄積や研究も行っています。
その他、日常生活で必要な動作の獲得はもちろん、自動車運転の再開に向けた、運転補助装置の提案や自動車運転シミュレーションによる運転評価を行います。

神経難病

パーキンソン病をはじめとした神経難病の患者様に対して、入院での集中的なリハビリテーションを行っております。近年では薬物療法に加えて、運動療法を併用することにより長期的に体の動きを良い状態に保つことができるとされています。
理学療法、作業療法では患者様個別の症状に応じて、トレッドミルなどの運動機器、運動支援のためのロボットを用いた歩行練習、水治療法などの運動療法、患者様の状態に応じた自己トレーニングの指導、よりよい生活を送るために必要な装具、福祉用具、自助具の紹介等を行います。自宅内で転倒が増えてきたなど、在宅生活でお困りの点がある場合には、必要に応じて家屋訪問を行い、住宅改修などの支援を行います。言語聴覚療法では声が小さくなった、はっきり話すことが難しくなった、食べ物を飲み込む力が衰えてきた等、発話や嚥下障害についての個別のアプローチを行います。嚥下障害がある方には、必要に応じて、レントゲンを使用して飲み込みの状態をみる“嚥下造影検査”の実施し、管理栄養士と連携して食事形態の指導なども行っています。

小児に対するリハビリテーション

運動発達の遅れや身体の不自由、事故や疾病により障害を負ったお子さんに、入院または外来にてリハビリテーションを提供しております。入院でのリハビリテーションでは、集中的にリハビリテーションを行っております。ご家族様とご一緒に入院することも可能で、お子さん本人だけではなく、ご家族へのリハビリテーション指導も行っております。リハビリテーションの内容は、発達に合わせた運動や姿勢の調整方法の指導、変形・痛みなど二次障害の予防のほか、補装具(下肢装具・体幹装具・起立台等)や日常生活で使用する自助具の作製を行います。きちんと食事ができるように食べることや飲み込むこと(摂食嚥下)についての評価や指導も行っております。また、就学前準備のために入院したり、ボトックス注射、整形外科的手術などの治療を含めたリハビリテーションも行っております。ことばやコミュニケーションに不安を持つ方に対して、各種の検査を用いた評価をもとに、話し言葉に限らずコミュニケーション全般への関わりをサポートしております。必要であれば、臨床心理士による発達検査やカウンセリングも行っております。

 

小児に対するリハビリテーション

小児に対するリハビリテーション

栄養状態に基づいたリハビリテーションの提供

 当院では、回復期リハビリテーション病棟を中心に栄養評価や身体機能評価を行い、医師や看護師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが連携することで、より質の高いリハビリテーションを提供できるよう努めています。

◆栄養状態に基づいたリハビリテーションの重要性

 入院中の高齢の方は低栄養やサルコペニアであることが多いと知られています。また、栄養が十分でない状態で強度の高い運動療法を行うことは、かえって逆効果となる可能性があると報告されています。そのため、リハビリテーションを行う上で、栄養状態を把握することは重要だと考えられています。

◆サルコペニアとは

 筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態のことをいいます。下図のように骨格筋量の低下と筋力低下(握力)もしくは身体機能の低下(歩行速度)により診断されます。

栄養状態に基づいたリハビリテーションへの取り組み

◆リハビリテーションにて行う栄養・身体機能評価

当院では、体重や周径、歩行速度、握力計測に加え、体組成計:Inbodyを用いて骨格筋量や脂肪量を計測することで、低栄養やサルコペニアの状態を正確に把握したうえでリハビリテーションを行っております。

◆栄養状態に基づいたリハビリテーションの提供

 回復期リハビリテーション病棟を中心に栄養評価や身体機能評価を行い、医師や看護師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが連携することで、より質の高いリハビリテーションを提供できるよう努めています。近年、「適切な栄養を提供すること」と「栄養状態に基づいたリハビリテーションを提供すること」で、日常生活動作(ADL)能力の改善や生活の質(QOL)向上につながることが分かってきました。「栄養」と「リハビリテーション」は偏りがあっては効果を発揮しきれない、切っても切れない関係です。「栄養」と「リハビリテーション」のバランスがとれるよう、チーム全体で連携を図り、患者様の退院を支援しています。

臨床心理士による関わり

臨床心理士による関わり臨床心理士が在籍しており、悩みや不安をカウンセリングをしていく中で、心の整理や問題解決ができるように支援しております。また、日常生活での支援方法を考えていくための手立てとして、小児では発達検査や知能検査、成人では高次脳機能評価に関する検査、また、患者様に応じて他の心理検査を実施することもあります。

HONDA歩行アシスト & HALによるロボティクストレーニング

HONDA歩行アシスト & HALによるロボティクストレーニング

Hybrid Assistive Limb®:HALは、筑波大学教授・CYBERDYNE株式会社CEOである山海嘉之氏らによって開発された装着型サイボーグです。筋肉が活動しようとする信号を捉え、モーターが駆動することで人の意思に応じた補助力が発揮され、ロボットの発揮する補助力により、歩行動作・起立/着座動作・立位保持などを支援します。当院では脊髄性筋萎縮症,球脊髄性筋萎縮症,筋萎縮性側索硬化症,シャルコー・マリー・トゥース病,遠位型ミオパチー,封入体筋炎,先天性ミオパチー,筋ジストロフィーの保険適用を受けた8疾患に対してHALを用いた治療を提供することに加え、様々な疾患(脳卒中、脊髄損傷、整形外科手術後、脳性麻痺を中心とした小児等)の患者様を対象として臨床研究を行っております。

Honda歩行アシスト®とは、本田技研工業株式会社によって開発された腰装着型の歩行練習機器です。股関節にある角度センサーの情報を基に、最適な歩き方になるようにアシストします。歩き方に合わせて補助することで左右対称、かつ、快適に歩けるようにサポートしてくれます。

当院では、脳卒中・脊髄損傷・神経筋疾患により運動障害を生じた方が、より良く、より安楽に歩くことができるよう、歩行練習のツールとして活用しています。また、人工関節置換術後や大腿骨骨折後の歩行能力低下に対し、早期歩行回復を目指した研究を行っています。

機器を使用した歩行練習

機器を使用した歩行練習体重免荷式トレッドミル歩行トレーニング (Body Weight-Supported Treadmill Training; BWSTT)とは、吊り下げ式の免荷装置を使用して、患者様の体重の一部を吊り上げながらトレッドミル(ウォーキングマシン)上を歩く練習を実施することです。
脚の力が弱く体重を支えることが容易ではない方や、持久力が低下しており歩行練習を実施する時間を長く保てない方などに対して本機器を使用することを検討いたします。

平地歩行用の体重免荷式歩行器
吊り下げ式の免荷装置を備えた歩行器です。患者様の体重の一部を吊り上げながら、平地での歩行練習を実施することができます。
(脚の力が弱く体重を支えることが容易ではない方や、持久力が低下しており歩行練習を実施する時間を長く保てない方などに対して本機器を使用することを検討いたします。)

長下肢装具を用いた歩行練習

脳卒中後の歩行能力の改善には、歩行練習の量が重要であると考えられています。しかし運動麻痺やバランス能力や体力が低下してしまい、十分な歩行練習の量を確保できない場合も少なくありません。当院では、入院早期より長下肢装具を使用することで、十分な量の歩行練習を行い、歩行能力の改善を図っております。

BOTOX療法とリハビリテーションの併用による介入

当院では、脳卒中の後遺症などで痙縮と呼ばれる、手足のこわばりの症状がある方に、ボトックス注射とリハビリテーションを組み合わせて実施しております。ボトックス注射実施後はストレッチや上下肢の機能練習、歩行練習などを行います。必要に応じて低周波刺激装置を使用したり、装具の見直し等も行います。

補装具外来:ブレースクリニック

医師、理学療法士、義肢装具士の三者が連携してブレースクリニックを展開し、患者様に最適な装具を処方できる体制を整えております。また、歩行の評価、採型、仮合わせ、納品、調整や装具についてのお悩み相談も行っております。
脳卒中後遺症としての運動麻痺をお持ちの方に、『下肢装具』を早期から積極的に使用することにより機能回復促進を図り、筋力・心肺機能低下を予防して早期の日常生活動作の向上、社会復帰を図っています。
小児疾患の方については、成長期に問題となりやすい側弯に対して、動的体幹装具『プレーリー君』を使用することで側弯の急激な進行の予防を図っています。また筋肉の発達が遅く歩きにくさがあるお子さんなどでは、お子さんの活動性や発達段階をみながら下肢装具を作成し、歩きやすさの改善や変形予防を図っています。足部が変形している場合などは、足に合った足底板:インソールを使用することで、疲れにくくなったり、躓きにくくなることもあります。
また、上肢や下肢などの四肢の切断後の、義手や義足などの作成を行っております。義手や義足を有効に使用するためには、リハビリテーションが必要不可欠であるので、義肢の作成からリハビリテーションまで一貫して行うことができます。

2019年度の義肢装具処方数

長下肢装具 28
短下肢装具(プラスチック式) 65
短下肢装具(金属支柱付) 36
体幹装具プレーリー君 13
インソール 75
義足 6
義手 3

 

補装具外来:ブレースクリニック

車椅子外来:チェアクリニック

補装具類のうち、車椅子や座位保持装置などの作成について、姿勢評価、製品試乗、採型、仮合わせ、納品、チェックなどを行いながら、仕様検討から完成までの一連の作業を行っております。
患者様の身体機能を医師のみではなく、補装具作成業者による評価、並びに患者様やそのご家族様のご意向を作業療法士がコーディネートし、患者様に適切な製品の提供を行っております。

嚥下造影、嚥下内視鏡検査

嚥下障害とは、病気やけが、加齢などによる口やのどの機能の衰えにより、食べ物を飲み込むことが難しくなる状態をいいます。当院では、患者様の状態に応じて、レントゲンを使った嚥下造影検査:VF検査や、のどを内側から見る嚥下内視鏡検査:VE検査といった専門性の高い嚥下機能検査を行います。
検査終了後、患者様の担当医師・看護師(摂食嚥下認定看護師)・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士などが参加し、検査結果をもとにカンファランスを行います。嚥下障害に対する治療方針を共有し、チームで患者様のリハビリテーションに取り組みます。

自動車運転プログラム

自動車運転とは私たちにとって、地域生活を営む上で大事な移動手段でもあり、ドライブといった余暇活動でもあります。一方で社会的な責任も伴う活動であるため、病気や加齢が要因で、手足が思うように動かなかったり、注意力や判断力といった高次脳機能の低下が疑われる患者様の運転再開については、慎重な対応が求められます。
当院では机上で行う認知機能検査とともに、運転操作能力検査用シミュレーター:DS-7000Rを用いて、より実践場面に近い状況での運転能力評価を実施し、安心して運動再開が可能であるかどうか、医学的な立場から評価します。

医療機関外でのリハビリテーションの実施
(公共交通機関の利用、職場での復職に向けた練習)

 退院後の社会復帰に向けた取り組みとして、電車やバスなどの公共交通機関を利用うぃ入院中に確認しております。病院近隣のバス停まで歩行し、路線バス、電車の利用を実際の環境で実施してもらい動作の指導や確認をする医療機関外でのリハビリテーションとして実施しております。そのほか、自宅環境で実際に家事動作を行っていただいたり、仕事復帰を目指す患者様に関しては、職場を訪問して環境を確認したり、実際の職場環境にあわせた動作を練習したり指導したりする取り組みも行っております。

家屋訪問しての介護指導、動作練習

嚥下造影、嚥下内視鏡検査

退院前に、我々スタッフが実際にご自宅へ訪問して、自宅内や周辺の環境を確認し、患者様が日常の動作を行ったり、家事をしたりできるように、動作方法の確認やご家族へ介助指導を行っております。必要な場合には、「手すりをつける」「段差を解消する」といった住宅改修に関する助言や、福祉用具の導入の提案などを行います。患者さん本人やご家族、当院のスタッフはもちろん、退院後に関わるサービス提供事業者のスタッフの皆様にも参加していただき、多くのスタッフで患者様が安心してご自宅で生活できるようにサポートします。

リハビリテーション科のご案内

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